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 先日、大学時代の同級生からメールを頂きました。彼は大阪の大学で
現在教官を勤めています。彼と話をするうちに久々に大学時代の気分に戻ってしまいました。

 理学部の大学院の入試試験で私よりも総合順位の上の者が二人だけいましたが、彼はその中の一人です。

 成績トップは別の体育会系合気道部の主将でした。ちなみに私は体育会系ワンダーフォーゲル部の主将でした。

 青春時代を一緒に過ごした仲間というのは貴重です。当時の年齢と同じ分量の時間を重ねた今も直ぐに昔に戻ることができます。

 大学生の頃の私は大学の権威主義にうんざりしていて、大学の4年間を終えたら早々に就職するつもりでいました。
 4年生からは専門の研究室に配属されるのですが、その前に研究室説明会に出席しました。

 とある教授は、パンチパーマで下駄を履いて出席している私に向かって、「君ならできる。大学院へ行ってみないか?」と、(教授は何を勘違いしたのか)熱く語り始めました。

 私もおだてられると木に登るタイプですので(私も何を勘違いしたのか)、完全にその気になってしまいました。
 その教授の下で、大学院入試に向けて研究を行いつつ、夜は猛勉強に励みました。

 そうして大学院入試試験の口頭試問当日を迎えました。

 私の専門に関する非常に厳しい試問が次々と飛んできました。最後の試問は次の様なものでした。

「平野君は、クロロフィル(葉緑素)を合成して、太陽のエネルギーがどの様に化合物の産出に結びつけられるかを調べているそうだね。君はクロロフィルが受けた太陽のエネルギーがそのクロロフィルと一体化した特定の化合物に伝達されるということを実験により検証しようとしているが、そのエネルギーのやりとりは別のクロロフィルから測定対象のクロロフィルに伝達されたものかも知れない。クロロフィル−クロロフィル間のエネルギー伝達か、クロロフィル−(そのクロロフィルと一体化した)特定化合物間のエネルギー伝達か、どうやって見分けるのか答えて見なさい。」
 
 一呼吸おいて私は次の様に答えました。

「はい。それは測定対象となる化合物の溶液濃度を順次小さくして測定すれば検証することができます。
 もしエネルギー伝達がクロロフィル−クロロフィル間で行われていたとすると、そのクロロフィルを含む溶液濃度を小さくしていくことにより、クロロフィル−クロロフィル間の平均距離が離れていきますので、エネルギー伝達効果の低下が著しくなります。
 これに対し、クロロフィルに一体化した特定化合物とそのクロロフィルとの間でエネルギー伝達が起きているのであれば、その効果は濃度には左右されません。」・・と答えました(一般の方にも分かる様に内容を少し改変しています。)。

 理学部の教授達は互いに顔を見合わせて、まぁよいでしょう、と話をしていました。
 最後に、私の指導教官とは異なる、体育会ワンダーフォーゲル部の部長をお願いしていた教授が教官席から私に声を掛けて下さいました。

 「・・・平野君、よくがんばったね。」、と。

 口頭試問のときには、筆記試験や独語等の語学試験も含めて大学院の合否はもちろん私には知らされていません。

 一人になって大学からバイクに乗って研究室のある研究所に向かう途中で、何故か涙がポロポロポロポロこぼれてきて、バイクを運転することができなくなってしまいました。

 大学なんてくそ食らえ、と思っていたこと。
 別に誰からも評価されなくてもよい、と思っていたこと。
 これからも自分は一人なのだ、と突っ張っていたこと。
 
 全く期待していなかった予想外の優しさに触れて、何か、一人で突っ張っていた21歳のガキの心の独りよがりの部分がどこかでポキっと折れた感じがしました。
 国道沿いにバイクを止めて、一人でしばらくわんわん号泣していました。

 (わんわん号泣していたなんてとても恥ずかしいことですので、このことは誰にも言っていません。)

 私がトップクラスの成績で理学部の大学院入試試験を突破したことは後で分かったことです。

 人生にはいくつか変曲点がありますが、そのうちの一つとして私は明確に20数年前のこの日のことを記憶しています。



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就職してから十数年かけて育英会の無利子奨学金の返済を終えたときは内心ほっとしました。