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 今回取り上げているBBS並行輸入事件に代表される並行輸入は、以前は認められていませんでした。

 日本国の法律が変わった訳でも、パリ条約の内容が変わった訳でもありません。変わったのは、
 
 日本国の産業政策である、ということに注意して頂きたいと思います。

 今、仮にBBSの支社が北海道の苫小牧にあった、とします。
 仮に会社Xが、このBBS苫小牧支社からアルミホイールを正規に購入し、船に積んで東京まで輸送し、東京でこのアルミホイールを販売したとします。
 この行為はBBSが保有する日本国の特許権の侵害とならないことは既に説明した通りです。

 次に、会社Xが、独国のBBSからアルミホイールを正規に購入し、船に積んで東京まで輸送し、東京でこのアルミホイールを販売したとします。
 この行為は、BBSが保有する日本国の特許権の侵害となる時代があったことも既に説明した通りです。

 両者を比較すると、実質的には、正規に購入した製品を積んだ船が国境を越えたか、超えなかったかというところに違いがあります。

 以前は並行輸入を認めていなかったのに、近年並行輸入を認めたということは、国境を越えた消尽を認めたことになるのではないか、これはパリ条約の「特許独立の原則」に反するのではないか、という見方はないのでしょうか。

 ここで原点に戻って、条約の考え方に戻ります。
 パリ条約で定められている事項については、パリ条約の同盟国はその事項を遵守しなければなりません。
 パリ条約で定められていない事項については、どうするかは全て日本国の自由です。

 とても大切なことですので、もう一度言います。
 パリ条約で定められていない事項については、どうするかは全て日本国の自由です。

 実は、今回の並行輸入の問題は国際的消尽に代表される国際的な問題を扱ったものではなく、国内法上の問題です。
 だから、並行輸入の問題について、それを侵害とするのも日本国の自由。それを侵害としないのも日本国の自由。全て日本国の自由です。

 並行輸入の問題について、日本国がパリ条約を遵守していないという事実はもちろんありません。
 過去に並行輸入を認めていなかったことも、最高裁にて並行輸入が一定条件の下に認められたのも、どちらもパリ条約に反するものではありません。

 何故そんなことが言えるか、ということについては次回にて。



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