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 日本も工業所有権を国際的に保護するパリ条約に加盟しています。
 パリ条約等の国際条約に定められた事項を遵守するのは当たり前として、国際条約に定められていない事項についてはどの様に考えていくのかが問題となります。さて、
 昨日の設定では、架空の国「太陽王国」を例に挙げました。この国では特許出願の願書に「太陽の神は偉大なり。」との文言を記載していないと、その出願に対して補正の機会を与えずに却下処分にする法制を採っている、としました。

 願書に「太陽の神は偉大なり。」との文言を記載しないでした東京太郎さんの特許出願を太陽王国特許庁は却下処分にできるのでしょうか。

 パリ条約には「内国民待遇」という規定が設けられています。
 上記の例でいえば、太陽王国の国民に課せられた条件・手続きに従う限り、日本国国民である東京太郎さんにも、太陽王国にて、太陽王国の国民と差別することなく工業所有権(産業財産権)の保護を与えることが義務付けられています。

 結論から言えば、願書に「太陽の神は偉大なり。」との文言を記載していないという理由で、太陽王国は東京太郎さんの出願を却下処分にすることができます。

 それでは東京太郎さんはかわいそう、という感覚は誤っています。

 太陽王国では、願書に「太陽の神は偉大なり。」との文言を記載していない出願に対しては、自国民も東京太郎さんも分け隔てなく処遇しています。
 この点でなんらパリ条約に定めた内国民待遇の規定に違反するものではありません。

 もちろん、自国民に対しては却下処分にして、外国人である東京太郎さんに対しては却下処分にしない優遇措置を設けることも条約違反になりません。

 ただし、太陽王国が東京太郎さんの特許出願を「外国人の出願だから」という理由のみで自国民と区別して却下処分することは許されないと考えられています。

 自国民もパリ条約の同盟国の国民も同様に扱うとする内国民待遇の規定に反するからです。

 次にパリ条約に規定がない問題については、国と国とはどの様にその問題を調整していけば良いのかを見ていきます。

 仮に、今私がこのブログを見ているあなたに、「今夜はカレーライスを食べなさい。」と、要求した、とします。

 あなたの反応はいかがでしょうか。

「平野さんがどうしても、というのなら食べてみてもいいよ。」とか、
「なんで俺が今晩カレーライスを食べなきゃならんのだよ。」とか、
「あなたの女房でもあるまいし、そんなのは人の勝手。」とか、色々反応があると思います。

 総じての反応は、「大きなお世話。」というものではないでしょうか。

 仮に太陽王国が日本国に対し「日本国における特許出願の願書にも『太陽の神は偉大なり。』との文言を記載すべし。」と要求してきた場合には、上記のカレーライスの場合と同様に、「大きなお世話。」と言ってみても良いのでしょうか。

 この点については次回に。



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お気づきの通り、パリ条約に規定がない問題というのは、実はパリ条約の問題とはいえないのです。その場合、国際的にはどの様に解決を図っていくのかということについて知っておいて欲しいと思います。