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  競業者同士の特許権の調整(3)

  ライバルメーカー同士が引くに引けない状況に陥った場合には、ついには訴訟に踏み切ることになります。

 すぐに決着がつけば良いのですが、一審だけでは実質的に決着が付かない場合もあり裁判は何年も続くことになりがちです。

  裁判を続けている間は、エースクラスの研究者や法務、知財の優秀な人材を専門に張り付けなくてはなりません。

 本来の研究業務等がストップするため、本業への影響も少なくありません。  また仮に特許の無効が確定した場合には、訴訟当事者以外にもどんどん自分たちの業域に参入してきます。

  ライバルメーカーがいがみ合った結果、他のメーカーが漁夫の利を得てしまうことだってあり得る訳です。

  本当に訴訟で争うことが望ましいことなのだろうか、むしろ手を組んでよりよき関係を構築していく方が訴訟を行うことより建設的ではないだろうか、という考えもまた生じて当然であると思います。

  以前、日亜化学と豊田合成とが特許権侵害訴訟で激しく争っていたときに、豊田合成側から、「本当に日亜化学と豊田合成との争いが双方のためになるのだろうか。冷静になって考えてみようじゃないか。」との趣旨の投げかけがなされたと聞いています。結果として日亜側も了承し、和解に至っています。

  特許権侵害があれば即訴訟、という訳ではありません。常に大局的にどのように解決することが当事者にとって利益になるのかという視点が必要となります。