■■ 知的財産ライセンス収入への道 ■■

  競業者同士の特許権の調整(1)

  現在携帯電話に関連する特許出願は1万件以上あると思います。
 携帯電話に関する発明をなしとげて、その発明を具現化した製品を販売するとします。

 実際に販売を行う場合には、この1万件以上ある特許出願について調べておく必要があるのでしょうか。

  結論からいいますと、調べておく必要があります。

  実際には特許出願の中でも特許されずに拒絶査定等により消えて行くものもありますし、技術的内容について全く関係がない出願が多くあるでしょうから、それらのものは考慮する必要がないにしても、それでも凄い数になります。

  特許されてしまえば、その特許発明に関する特許権を侵害したものには過失があったものと推定される旨の規定が特許法にあります(特許法103条)。

 法律上は、事業上関係がある特許権の存在を知らなかったとはいえないようになっているわけです。

  携帯電話に限らず、通常はある製品群は非常に多くの特許権により保護されている上、その特許権を知らないとはいえない状況があります。

  どの製品についても数多くの特許権が存在しますから、ライバルメーカー同士は現実的なレベルで特許権に関する問題を解決しておく必要があります。

  一般的な話ですが、既存のライバルメーカー同士は通常数百件の特許権を互いにクロスライセンスしていてお互いの特許権を自由に使用できる様にしています。 この様な契約は通常表には出てきません。

  また、上記のメーカー以外のした特許出願の多くも、上記のメーカーの系列関係などにありますから、親がもめない以上、子もおとなしくしているという関係にあります。

  上記の様に、外部からは見えない調整が働いていて、数多くの特許権が存在するにもかかわらず外見的には平穏状態が保たれているように見えます。